よくこんな質問を受けることがあります。
それは、
書道と習字の違いです。
この違いを知りたくて、
このブログに辿り着いたという方も多いようです。
ご訪問ありがとうございます。
よく似た言葉ですが、違います。
では、どう違うのでしょうか・・・・・
「習字」
習字とは、文字通り、文字を習うことです。
そして、美しく書くための練習であり、
お手本のとおりに書くことです。
読み書きそろばんのひとつといえるでしょう。
ほかの言い方では、「書き方」とか「書写」とか言います。
毛筆だけでなく、ペン字や鉛筆などの硬筆はこれに入ります。
「書道」
書道とは、「書」とも言います。
毛筆を使って文字を書き、
お手本を見て美しく書くことだけではなく、
そこに個性を出しながら自分を表現する一つの芸術です。
精神修養的な要素を指して道がつき「書道」と言います。
ちなみに、私自身はこの中でも
「書」という言葉が一番好きです。
習字ではなく、精神修養的な書道でもなく、
より芸術性を追求した響きがある「書」。
余談ですが、昭和23年(1948年)10月に、
日展に書の部門が開設されるにあたって、
部門名を「書」にするか「書道」にするか
という議論があったそうです。
当時、書の世界の精神的支柱となっていた
豊道春海翁(1878年~1970年)は、僧侶ということもあり
生涯にわたって「道」を説いた人で、「書道」としたかったそうですが、
春海翁の師匠の子、西川寧氏(1902年~1989年 昭和の三筆)が
「書」を提唱し、春海翁もそれに応じたそうです。
このところ、春海翁が師の子、寧氏に全幅の信頼を
寄せていたことがうかがえますが、
寧氏はこの言葉になにを託したのでしょうか。
中国では書法、韓国では書芸、日本では書道が通用していた当時、
守旧の「道」という概念を払拭し、
「書ハ美術タリ」
という思想をこの言葉に託したかったのではないでしょうか。
私は、独立独歩の芸術家道をよしとしていますが、
「書ハ美術タリ」という想いがいつも根源にあります。