10月は秋風が心地よい季節。
空は高く澄み、木々は色づき、風が季節の変化を知らせてくれます。
今回降りてきた一字は「風」。
風は形を持たないけれど、
確かにそこにあり、
私たちを揺らし、動かし、
つなぎます。
■ 「風」という文字
「風」は、ただの自然現象を超えて、
文化や生き方の象徴でもありました。
「風雅」「風情」「風流」という言葉に込められているのは、
見えない流れの中に美や真実を見出す
日本人の感性です。
■ 書に込めた想い
この一字を書くとき、私は「文字を描こう」とは思いませんでした。
ただ風の通り道を紙の上に残す。
その意識に切り替えたとき、線は軽やかに流れ始めました。
余白に吹き抜ける風。
かすれや抜けに宿る風。
文字の外に広がる空気までをも含めて
「風」としたのです。
■ 風の教え
風は選べません。
追い風もあれば、向かい風もある。
けれど、どう受け止めるかは自分次第です。
凧は風に逆らわず、
むしろ風を利用して高く舞います。
私たちの人生もまた、
風をどう生かすかで
高さが変わるのではないでしょうか。
■ 今月のメッセージ
いま、あなたの心を吹き抜けている風はどんな風でしょう。
穏やかな秋風か、冷たい逆風か、
それとも凪の静けさか。
目に見えぬ流れを感じ取り、
その風を力に変えていく。
その柔らかさこそ、
「風」という字が教えてくれる智慧なのです。
■ 結びに
風は姿を持たないけれど、確かに存在します。
そして、その流れが私たちを育て、導いてくれるのです。
10月のこの季節に、
「風」という一字を通して、
見えないものの確かさを
感じていただければ幸いです。
📢 お知らせ
「一文字の世界【今月の一字】」は毎月の月初に更新予定です。
次回もどうぞお楽しみに。